「むし歯を治しに来る歯科から、むし歯にならないために来る歯科へ」

歯科医院はコンビニより多いとされ、歯科医師過剰が言われる今日、ありがたいことに当院にはたくさんの患者さんが来院されます。
しかし、十年くらい前のある日から、ふと現在の歯科医療に疑問を抱くようになりました。
「なんで毎日毎日こんなにむし歯治療に子どもたちが来るんだろう。現在の医学では、フッ素やシーラントの開発により、子どもたちのむし歯はかなり予防できるようになっているはずなのに…」と。それでも毎日毎日子どもたちのむし歯来院は続きます。
そこで一念発起し、私は決断しました。

「むし歯を治しに来る歯科から、むし歯にならないために来る歯科へ」
そのためには二つのことが大切だと思いました。
一つは、これまで以上におひとりおひとりの患者さんに予防について話していくこと。もう一つは予防のために歯科に来ない人々に、歯科医師として講演会を開き、なるべく専門用語を用いずにわかりやすく伝えること。そうやって10年で500件くらい、各地でボランティア講演会を開いてきました。

今回、丹平製薬さんが子どもたちのむし歯を防ぐ予防歯科サイトを作られるということになりました。大学の偉い学者さんではない、小さな町医者の私ですが少しでも協力できればと思います。これまでの講演会で培ったそのエッセンスを、少しでも多くの子どもたちへ伝え、そしてそれが子どもたちのむし歯を防ぐ一助になればと思います。

まだ、今日でも当院は虫歯を治しに来る方がほとんどですが、いつの日か、今日は一日歯を削ることがなかった。そんな日を作ろうと思っております。